2014.08.23 Saturday
inside job
僕の仕立ての芯の構造です。
芯本体と胸の芯と肩の芯と綿の4枚構造
これに表地と裏地で計6枚構造になります。
その構造や切り込みやステッチ等、一般に英国スタイルやイタリアスタイルなどと決まったやり方があるように勘違いされやすいですが、伝統的なメソッドなどある意味ないのです。
人によっては最初に習ったやり方を生涯続けるような人もいるのでしょうが、それらは先人が頭を使い工夫をこらして行き着いたやり方で、我々はそれを参考にしながら同じように創意をこらして自分のやり方を考えなければならないと思います。
写真の芯ですらその一つ前に縫ったものとは既にやり方が違います。
さてinside jobと銘打ったのには皮肉もあります。
言葉自体のもつニュアンスとしては内部の秘密的などちらかといえば悪い表沙汰にできない仕事、それも銀行強盗なんかが使う意味でのjobという感じを、服の内側の構造をこさえる職人仕事にかけたわけです。
これはヨンゲイ=ミンゲールリンポチェという高僧が同様の悪事的なニュアンスを瞑想や内的な仕事=心の開発とかけて使うのを真似しました。
彼はチベット人なのでその言葉を直訳的に捉えたままの”内側の仕事”って感じが面白かったようです。
彼は少年時代よりパニック症候群であったのを瞑想により治癒した経験をもつのでそれこそ一つの内側の仕事であったようです。
服の立体感に内部構造が大事なように、人の心もまた内部構造が大事であり、心におけるそれは服のよう複雑な細工がされてることよりも、なんの細工もなく青空のような広がるように、むしろ余計な内容物や構造を棄てていくお掃除屋さんのようなjobこそが必要なようです。